M-1グランプリ2018振り返り!1本目
- ヒジカタ
- 2018年12月4日
- 読了時間: 37分
更新日:2018年12月12日
今年のM-1グランプリを丁寧に丁寧に、誰よりも丁〜〜寧〜〜に振り返ります。ちょこちょこ更新して書き進めていきます。
以下の文章は、全ての芸人さんへのリスペクトと、愛をもって、時間をかけて書いています。
エゴサでこのブログを読んで頂いたのか、とあるM-1ファイナリストさんにTwitterをブロックされてしまいました。ご本人様に目を通されても恥ずかしくない文章を心がけますが、私はほんとうにただただお笑いが好きなだけの素人ですから、あくまでも素人の独り言だと思って聞いてくださいね。
個人の判断ですが、笑いが起こったセリフを書き起こし、笑いの大きさを「○」で表記しています。○は一つから、五つまでの五段階。
笑いと一緒に拍手が起こった箇所は「●」と記載しています。同じく五段階です。
こちらも個人の判断にはなりますが、話題が一続きになっているところ、立て続けに笑いが起こる場面はそのまま次の行にセリフを書いています。笑いの起こらない掛け合いが間に長めに挟まっていたり、話題の関連性が薄くなるような場面は一行あけて書きました。パソコンで書いているので、パソコンからお読みいただくとわかりやすいかもしれません。
あと、いわゆる「伏線」とその回収の箇所には記号をつけ対応させてあります。
点数については以下のように表記します。
オール巨人(巨)
中川家・礼二(礼)
ナイツ・塙(塙)
立川志らく(志)
サンドウィッチマン・富澤(富)
松本人志(松)
上沼恵美子(上)
合計:
最高点:(審査員)
最低点:(審査員)
平均点:小数点第二位切り捨て
笑いが起きた箇所:◯がついている行の数
起きた笑いの平均:「◯の数」÷「笑いが起きた箇所」小数点第二位切り捨て
拍手笑いの箇所:●がついている行の数
起きた拍手の平均:「●の数」÷「拍手笑いの箇所」小数点第二位切り捨て
審査員のコメントは放送順、ネタの評価に関連しない一部のコメントは省略しているものもあります。
ネタの全てを文字にしている訳ではないので、録画したのをもう一度見ながらこのメモ書きを追っていただくのが良いかと思います。それでは、よろしくお願いします。
1:見取り図「彼女がほしい」
ツカミ「誰が豚まんやねん」○○○
豚はええねん、勝手に包むな○○○
俺のことダーリンて呼ぶな○○○
1回目ダーって呼んでた○○
(※ラムちゃんか、すがゆりこさんだけ)
アゴの長さ○○
シャクー!○○○
どないなってんねん!○○
勾玉ちゃうん○○
ジャンボ勾玉○
300!○
ししゃも?○○○・●
(*マルコ牧師)
ええわけないやろ○○
胎児?○
どうやって連絡とるん○
ぬるま湯かけてあげる○○○・●
スポブラやん(1回目)○○○・●
スポブラやん(2回目)○
女子中学生やん○○
連れてかれるかあ!○○○
俺や変なおじさん○
*あとマルコ牧師って誰!?○○○○・●●●
街の人の協力があるからとか○○○・●●
俺のことおんどれって言うな○○
あたおかでした!○○○
頭おかしいやないか○○○○・●
放火されて許せるのあたおか○○
俺のこと社長っていうな○○○
※あとすだゆりこも誰!?○○○○・●●●
巨88
礼91
塙85
志85
富86
松83
上88
合計:606
最高点:91(礼二)
最低点:83(松本)
平均点:86.5
笑いが起きた箇所:28
起きた笑いの平均:2.3
拍手笑いの箇所:7
起きた拍手の平均:1.7
上沼「前半の笑いが古い。私たちがやっていた頃の懐かしい感じ。後半でガッといきましたね。後半はあの調子でいって欲しかったと思う。時間が足りなかった。惜しい。88は本当は86と思っていたが、トップバッターだから点数を高めにつけた」
松本「うーん、そこまでうけてなかったかな……。(今田:やはり前半部分?)そうですね。もうちょっと笑いが欲しかったかなあ。」
富澤「勾玉とか、非常に面白いワードがいっぱいあったんですけれども、後半もうちょっと欲しかったかな。」
志らく「最初聞いているうちは新しさがないから本当に50点ぐらいつけようかと思っていた。だけどマルコ牧師で70点まで跳ね上がって、すだゆりこで85点まで」
塙「トップバッターなので完璧だと思うんですけど、好みだと思うんですけど、やっぱり横の意識しかない。もうちょっと縦の、お客さんの方を意識した立体感が生まれるともっと点数上がったかなと」
礼二「トップにしたら結構出来は良かったのかなと思って。トップ僕もやったことあるので、トップの気持ちで、まあちょっと多めに(点数をつけた)」
巨人「ちょっと波があったように思う。ネタ振り、あれ、それ何?って、みなさん、それ誰?そうなった時にお客さんがちょっと引くんですよ。そこらへん、まあ最後出てくるんですけど(今田:回収はしているんですが)もうあと一個一個のネタ振りが、三つのところを二つくらいに縮めてやったらもっと良かったのでは」
盛山さんのハイトーンツッコミがなかなかいい感じにハマっていた!
一度スルーして二度目でつっこむところもしっかり笑いが来ていた。
後半に大きな拍手笑いもあって、私は楽しんで見ることができた。
二つ張ってあった伏線だが、二つめのマルコ牧師から先に回収したのは直近の話題から触れた方が笑いやすいためだろう。
オリジナルの略称(あたおか)に関しては、最初聞いた時にはみんなポカンとなって、「頭おかしい」でようやく理解→爆笑の流れだと思っていたのですが、「あたおか」の時点で笑いが来ていて驚いた。友人曰く、「あたおか」という言葉を(見取り図発祥とは知らずに)使っている人がいたりして、若い層に少し認知されつつあるからではないかとのこと。
「あたおか」の知名度がもう少し低かったら、隠し球的に「頭おかしいやないか」のところでもっと大きな拍手が来ていたと思うのだが。
審査員の方が仰っていたように、前半の、中くらいの量の笑いからリカバリーできるほどは後半が盛り上がらなかった。「あたおか」での爆発(拍手笑い)を少し小さめに見積もっていたら、もっと前半からアクセルを強く踏んだネタになっていたか?
客観的にネタを見た個人の感想としては、前半、見取り図のお二人だったら「どないなってんねん〜ジャンボ勾玉」でもっと笑いが取れるのではないかと思った。あと「胎児?〜どうやって連絡取るん」も笑いが少ないので、補強したらもっと点数上がっていたのかな。ただ、こんなものは結果論ですので無視してください。素晴らしい漫才だと思いました。
巨人さんが仰っていたフリの数、「ダーリン」はそのままにして「おんどれ」「社長」のどちらかを削って形式の違うボケを入れるとか、そういうことかしら…?
決勝初進出、トップバッターで堂々とネタを披露するお二人の姿はとてもかっこよく、準決の発表での姿を思い出したりもして更にグッと来た!一年で最も漫才師が輝く祭りの始まりに相応しい漫才だと思った。
今田さんとの絡みや暫定ボックスでの架空の人物ボケがしっかりウケていたのもよかった。今後全国区のネタ番組やバラエティ番組への出演が増えそうな感じが個人的にはしたので、近いうちにアメトーークのひな壇後列で彼らを見られるのでは…と楽しみにしている。
2:スーパーマラドーナ「ご近所さん」
ツカミ「生きてんのか死んでるのかよう分からん奴が…」○
この言葉がトラウマです→知らんがな○○○
早いですね○○○・●
バーン!カチ、カチ○○○○○・●●●
刺さってます○○○○・●
後からこんなにのジェスチャー○○○○
近いな○
[包丁を押さえる]○○○
僕ね、たまに舞台で…○○
みんな動かなくなるんです○
[田中調理に戻り武智かたまる]○○
聞いてるんですよ○○○
違う違う違う違う!○○○○・●
アゴが引っかかってる○○○
よりやってくれてます?○○
心折れそうやった○
[田中調理に戻り武智かたまる]○○
こいつやばすぎる…○○
牛乳!牛乳でしょ○○
これこそ地獄のショータイムやないかい○○○
やめろ!○○
これ人生で一番大事な舞台やぞ!!○○○
巨87
礼90
塙89
志88
富89
松85
上89
合計:617
最高点:90(礼二)
最低点:85(松本)
平均点:88.1
笑いが起きた箇所:22
起きた笑いの平均:2.5
拍手笑いの箇所:4
起きた拍手の平均:1.5
富澤「僕、サイコ系のネタが好きですけど、なんか前半に笑いが来て、後半またもうちょっと欲しかったかなと。後半でもっと欲しかった」
塙「毎年、ちょっと難しい設定を面白くするのがスーパーマラドーナなので、それをまたさらに期待しちゃったので後半が失速した感じになってしまった」
松本「サイコ強めかな。(サイコを)上回るほどの笑いまで持っていけてなかったかな。」
上沼「入る時は面白いなあ、期待できたわ。やってみようって言って、どんな展開になるのかと思ってウキウキした。だから頭は田中頑張れ!って感じだったけど、ぐしゃっとした。後半。(略)ネタが難しかった」
漫才コント序盤、バン!カチ、カチのところで大きな拍手笑いが起こり、私は鳥肌が立った。ここで田中さんのサイコパスなキャラクターに一気に期待が高まる。
上の漫才のメモ書きを見ていただいてもわかると思うのだが、ストーリー性?に重きを置いた結果、笑いが起こってから次の笑いまでに少し時間があったり、話題の関連性が薄れる(一行あけて表記した)箇所、ボケとボケをつなぐ箇所が多かった気がする。
見たことがありそうでなかった難しい設定に、前半ぐっと惹かれたのだが、その後に包丁、コードで首をしめるといった直接的で物騒な表現が出て来たことでちょっと引いてしまい、笑いにくくなったのは事実だと思う。ネタをやる場所によって変わるとは思うけれど、少なくとも当日のお客さんはそうだった。緊張が強すぎて緩和しきれなかった。まあ、一言でいうならネタもお客さんも「重かった」……のかもしれない。
徐々に笑いにくくなっていった空気の中で田中さんのハイテンションな動きのボケがハネず、その結果、最後の「これ人生で一番大事な舞台やぞ!」が拍手笑いにならなかったのかな、と感じました。
二度の武智さんが固まるシーンや「後からこんなにのジェスチャー」など、笑いを生む方法やツッコミ方がバラエティに富んでいて、武智さんが考え抜いて作り込んだネタだということは、私には伝わって来ました。
審査員からはサイコが強い、後半が失速した、などのコメントがあったけれど、最高点の礼二さんは90点をつけていた。気持ち高めに点数をつけたというトップの見取り図と比べてどう感じたのか?話を聞きたかった。
M-1ラストイヤーの舞台、武智さんと田中さんご自身が悔いのないパフォーマンスができたならよかったのではないかと思う。最後の武智さんのコメントに私は胸を打たれたし、田中さんは、誰よりもM-1に燃えていないからこそ繰り出せる、ものすごい度胸の「テッテレ〜」で最後までみんなを和ませた。ネタ以外のところでお二人の良さが垣間見えたのは感動的だった。
武智さんはインスタライブの件も…(この件に関しては後ほど。)
色々とお疲れだと思うので、心身共にゆっくり休めて欲しいなと思いました。
15年間お疲れ様でした。ここからお二人のさらなる活躍を期待します!
3:かまいたち「タイムマシン」
(ツカミなし)
二、三回考えた人も…○
広げすぎ広げすぎ○○○
何をするつもり今から?○
ポイントカード作りますね○
はい!作ります!○○
ポイントがやろ?→違う違う違う違う!○○○○・●
僕のポイントカード作ってたらは…○◯◯
レジに行くたびに思う◯◯◯
何も思うか!◯◯◯
今わかりにくく説明した◯◯◯◯・●
全然共感得てへんやないか!◯◯◯
M-1史上最悪の客です◯◯◯
僕ポイントカード残りますよ◯◯◯
何残ります!?!?◯◯◯
マイナンバーがネットに晒されますように◯◯◯
三角てどこの宗教やねん◯◯◯・●●
これは頷いてる人いるやん◯◯◯
喋らせてくれへん?◯◯
確実に作れるやろ◯◯◯・●●
いやダメですなんてならへんやろ◯◯◯
[口を押さえる]◯◯
おらんやろそんな奴◯◯◯
そんなんすんな!◯◯◯・●
お前がもし…て言うたんやろ!!◯◯◯◯・●●
いい!いい!いい!いい!◯◯◯◯・●
お前俺にマイケルジャクソンさせたな!?◯◯◯◯・●●●
巨89
礼92
塙92
志88
富91
松90
上94
合計:636
最高点:94(上沼)
最低点:88(志らく)
平均点:90.8
笑いが起きた箇所:26
起きた笑いの平均:2.8
拍手笑いの箇所:8
起きた拍手の平均:1.6
上沼「達者ですね。プロやなあと思いました。みなさんそうなんですけれども、やはりクオリティが高い、かまいたちは。上手い。」
志らく「ものすごく上手いし、面白いし、ただ、上手さを感じすぎてしまったんで…。本当にすごい、面白い漫才師、ここら辺にいらっしゃいますけれども、上手いとか感じないですよね。もうとにかくうわ!おもしれえ!すごい!って。だから上手さの前には魅力っていうのが現れたらば太刀打ちできないんですよ。だからすごい上手いと思ってしまった。発想から言ったら、さっきの猟奇的なやつの方が発想としてはすごいと思ったので、同じ点にしてしまった」
塙「パワーバランスとかはすごくいいですし、あと、ずっと面白いことを言うレールにかかっている感じが、かまいたちってするんですよ。やっぱり好みなので、点数上がっちゃいました。」
富澤「なんか後半にかけて盛り上がっていってるし、人間、二人の面白さだからいいなと思いました」
89点をつけた巨人さんのコメントが聞きたかった。90点に乗らなかったのは、志らくさんが指摘した「発想」のことが同じように理由なのかな?
メモ書きで中盤あたりのボケは◯3とした箇所が多いのだが、どれも限りなく4に近い3という印象だった。また途中で笑う箇所がない掛け合い部分がちょこちょこあるけれど、スピード感を保っていたのでぶつ切りになっている印象は私は感じなかった。
私個人としてはものすごく笑ったし、好みでいっても、二人の良さ、人間味が出ているところが好感を持ててよかった。かまいたちらしくボケの山内さんのセリフで(ツッコミの前の時点で)笑いが起きている箇所が多いのもさすがだなという感じで、さらに「どこの宗教やねん」のように濱家さんがしっかり補完する場面があるのも笑いが双方向になっていて?いい。
ただ客観的に見たときに、タイムマシンという自由度の高いテーマでありながら、ポイントカードを作るというところから話が進展していかないスケールの小ささ(審査員さんのおっしゃる「発想」)が、最終決戦に進むほどの高得点に繋がらなかった原因なのかなと思う。
山内さんがネタの後ガッツポーズをしていたとのことだったが、確かにテクニックや当日の出来は完璧だったと感じた。めちゃくちゃ上手かった。(これについて、面白さより上手さが前に立っていたという話、これは時間が解決してくれる問題だと私は信じている。)
志らくさんがTwitterで仰っていたようにM-1は単なるテクニックの品評会であってはいけないと思うし、ネタの発想と審査員の好みがある程度尊重されていいと思う。
そういったことを考慮すると、うーん、まあ妥当な点数だったのかなと…。
私は好きだったけれどね。
濱家さんが暫定ボックスで滑り散らかしたところとかも(笑)、なんだかんだで可愛げがあって、私は笑顔で見ることができた。とにかくこのコンビは漫才が温かい。温もりと人間味に満ちたかまいたちの漫才をまた来年の今頃見られるかもしれないと思うと、それだけでも本当に嬉しい気持ちである。
4:ジャルジャル「国名分けっこ」
ツカミ「福徳でーす」◯◯◯
知らんの入ってるわ◯
言い方の問題じゃない◯◯
(国名分けっこ1回目)
平和な遊びやな◯◯◯
(国名分けっこ2回目)
…ドネシア…◯◯
…ドネシア…◯◯◯
インドネシアばっかりやな!◯◯◯
ハイペースで出るなインドネシア◯◯
ほぼ一回置きにドネシア◯◯◯
初めて言う四文字やねん◯◯
(国名分けっこ3回目)
…アル・ゼンチン、アルゼン・チン…◯◯◯◯・●
アルゼンチンばっかりやな!◯◯◯◯・●●●
ほぼゼンチン、チンて言ってる◯◯◯◯
ゼンチンも初めて◯◯◯
ゼンチンの口なってんねん◯◯◯
(国名分けっこ4回目)
ドネシア…トラリア…ドネシア…チン…◯◯◯
頭おかしなるわ◯◯◯◯◯・●●●●
見てる人の精神状態によっては◯◯◯◯
真顔でゼンチン、チン、ドネシア…◯◯◯◯・●
ほぼ二か国しか出えへんからな◯◯◯◯
たまに出るトラリアも嫌やねん◯◯◯◯
ダントツでゼンチンや◯◯◯◯・●
(国名分けっこ5回目)
ゼンチンゼンチンゼンチンゼンチン◯◯◯◯
ドネシアドネシアドネシアドネシア◯◯
ゼンチンドネシアゼンチンドネシア◯◯◯◯
ドネシアドネシアゼンチンゼンチン◯◯◯
チン、チン◯◯◯◯・●●●
ゼーンチーン!◯◯◯◯・●●
ドネーシアー!◯◯◯
トラーリアー!◯◯
無理無理無理!◯◯◯◯
レベル上がりすぎや!おい!◯◯◯
ゼンチンゼンチン…(長ゼリフ言い始め)◯◯
アウトー!◯◯◯◯・●●●●
ゼンゼンチンチン言うてもうてる◯◯◯◯
なんやそれ!◯◯◯
どないした?みたいに言わんでええねん◯◯◯
巨93
礼93
塙93
志99
富90
松92
上88
合計:648
最高点:99(志らく)
最低点:88(上沼)
平均点:92.5
笑いが起きた箇所:37
起きた笑いの平均:3.2
拍手笑いの箇所:8
起きた拍手の平均:2.0
志らく「実は私、ずっと見ていて一つも笑えなかった。だけども、ものすごい面白かった。だからこれが、プロの芸人を笑わせる芸なのかなという風に感心して…。プロがあまりゲラゲラ笑うようなのはそんなに面白くない、本当は。頭の中はめちゃくちゃ面白かった。最初はふざけているだけでくだらねえなと思っていたけど、だんだんこのノリは昔のコント55号を思い出すような感じにもなってきて、この飛んだ漫才に私はものすごい惹かれた」
巨人「何が面白いかわかりませんが、面白かったです。(略)長いことやっているから、まだ続けるんかいと思うけどそっから面白くなるねんね。昔はテンドンと言うのがあって同じのを順番にやっていく、それの変形的な感じ。訳わからんけど面白かった」
礼二「四組目で、おそらく一番ジャルジャルがウケたのでは、という単純な判断。過去何年かM-1出て、ずっと形を変えなかった頑固さがすごい。」
上沼「ジャルジャルのファンだがネタは好きではない」
松本「途中屁こいてもうた」
塙「ゲームの説明をしないで、だんだんこうお客さんと一緒になって分かっていくっていうのが理想的な展開だった」
富澤「ジャルジャルは本当に毎回面白くて、なんかこう二人の人間力が出てくるともっと最強になるのにと思った。マシンを見ているような感じ。」
圧巻の漫才だった。ストーリー性が一切ないので(笑)、笑いがずっと一続きであるという点、そして「国名分けっこ」をやってる間、ずっと◯3〜4の笑いが継続しているのが、このネタがハマった時の強さだと感じた。笑いが起きた箇所37、起こった笑いの平均3.2を見てもダントツ。
彼らの前衛的なネタは、奇をてらっているとかこれは漫才なのかとか色々言われてきたけれど今回はまず発想の強さでねじ伏せるというジャルジャルのプランが完璧にキマったなという印象。時代が彼らに追いついてきたというか。
99点が出て、他の審査員も驚いていましたね。私は、志らくさんのコメントの内容ももちろんだけれど、プロとしてあくまで淡々と最高の言葉で絶賛する姿にグ〜ッと唸ってしまった。
ここまででウケが一番良くて、合計点も暫定1位だったので審査員からポジティブなコメントが多かった。(逆にここまで辛いコメントが多すぎたような気もする)
ただ富澤さんのようにもっと人間力を感じたい、と見る人もいるだろう。私みたいなのは圧倒されるばかりで、そんなことを考える余裕はなかったけど。
打ち上げの千鳥との絡みで言っていた、つっこむタイミングを客の反応を見て変えているという話。流石に驚いた。しかも、ネットで話題になっていたが、このネタは大体の流れが決まっているだけで、フリの部分がほぼアドリブ。本当にゲームをやっているのだ!
これぞジャルジャルの「二人遊び」の真髄…。尺も決まっているというのに、国名分けっこ2回目でかなり長めにツッコミを待つ判断もすごい。男子高校生の休み時間のじゃれ合いを極めに極めたプロだと思った。
5:ギャロップ
ネタ「合コンの人数合わせ」
(ツカミなし)
嫌やって!◯◯◯
誰誘ってんねん!◯◯◯
ババ抜きやないか◯◯◯
余計嫌やって!◯◯◯
無理やって!◯◯◯◯
デザイナーみたいになってる◯◯◯
え?ああ…、みたいになる◯◯◯
違いすぎるって!◯
おんなじ人間なのに◯◯◯
これが?端で黙って座ってるの?◯
妖怪やないか!◯◯◯
私にしか見えてないんですかね?◯◯◯
すいません、ご馳走様でした◯◯◯
数って合わせなあかんの?◯◯◯
どういう意味やねん!◯
ハゲ頭の〜呼ばれたんですね◯◯◯
おっちゃんにも20のモデルは無理や◯◯
おっちゃんがいかなあかんねんて◯◯
精神的には7対1やねんけど◯
お前よう行こうおもてたな!◯◯◯
俺に毛生えたようなもんやで!◯
双子で〜おもろっ◯◯◯
コンパは行けへん、それだけ◯◯◯・●
なんでやねん!◯◯◯
いつからこの話俺が中心になってんねん◯◯◯
全部や!◯◯◯
巨87
礼90
塙89
志86
富87
松86
上89
合計:614
最高点:90(礼二)
最低点:86(志らく、松本)
平均点:87.7
笑いが起きた箇所:26
起きた笑いの平均:2.5
拍手笑いの箇所:1
起きた拍手の平均:1.0
礼二「ツカミから入っていってずっと一辺倒。掛け合いだけなので、ハゲでなんか動いてみるとか、そういう変化が欲しかった。」
塙「ギャロップもスーパーマラドーナも一生漫才やっていく仲間みたいな感じはするんですけど、M-1の4分の筋肉が使いきれてなかったかなという感じ。」
富澤「見ていておじさんの安心感があった。デザイナーとか、面白かったですけれど爆発はしなかったかなという印象」
上沼「全く同じ意見です。4分のネタではなかった。落ち着いて寄席見にいって、これから15分楽しくなるんだろうなっていう…惜しいなあ。場所負けしたかな」
松本「だいたいみんなと同じ意見」
巨人「なんでこのネタやったんかな。もっとおもろいネタいっぱいある。(略)彼らの漫才はもっと面白いです、これだけ言っておきます」
志らく「広い劇場とかでのんびり見ていれば面白いんだろうけど、テレビサイズで舞台とモニター見ていたんだけど、ハゲ方があんまり面白くないんだよね、遠くで見てれば面白いけどモニターで見るとどこにでもいるハゲ」
上沼「自虐というのはあまりウケない。自分を蔑むっていうのはウケないっていうのは、これだけのキャリアだったら知っておかないとあかんわ。」
ジャルジャルのとんだネタの後で、追い風が吹いているとは言えない状況であったが、さすがの安定した漫才であった。
やはりどうしてもひっかかってしまうのは、笑いが起こるのは林さんのセリフのみで、毛利さんはボケというよりもフリに徹してしまっていること。そして、礼二さんがおっしゃるようにいまいち一辺倒な印象…。同じくツッコミに高いウエイトが置かれる見取り図と比較すると、出順の関係もあって合計点こそ高かったが、拍手笑いの数が少ない。ツッコミのセリフのみで笑いを取る、という形式をとるにあたってのリスクヘッジが(後半に盛り上がりのあった見取り図と比べても)うまくいっておらず、全体を通して強く印象に残る部分がなかったかなという感じ。
また予選から思っていたが、賞レースということでプロの審査を意識してか彼らのネタにしては自虐(特にハゲいじり)は控えめになっている。「これが」と自分に指をさすなどして、自虐をマイルドにしていたのがわかった。
初めてのM-1決勝の舞台でも緊張を感じさせない、結成15年の安定感はさすがだなと思ったし、審査員からの「言うほどハゲてない」「ハゲ方が面白くない」などの衝撃的なコメントは、今後の彼らの芸をより一層膨らますものだったのではないか。今後5年後10年後、彼らの漫才がどのように熟成されていくのか楽しみにさせてくれる素敵な漫才だった。
6:ゆにばーす
ネタ「遊園地ロケ」
ツカミ「実行犯でやってますよ」◯◯
誰が爆乳清宮くんだよ◯◯
反吐が出るわい!◯◯◯
探し出して血祭りじゃ◯
どっちでもええねん◯
どんな面したらええねん◯◯
言い方悪いな◯◯
天才児でした◯◯◯
天才すぎるわ◯◯◯・●
激ヤバブスカップルではないんで!◯◯◯
遠心力を揃えろ◯◯◯
俺ら何してんねん◯◯◯
上りで〜やばい奴らやろうが◯◯
落ちる落ちる落ちる!◯◯◯
縁起でもなさすぎるから!◯◯
プロポーズしたんじゃないんで!◯◯◯・●
Wikipediaか!◯◯◯
誰がやねん◯
意外〜、おおきに◯◯
こんなコテコテでやってへんわ!◯◯◯◯
お前神奈川県民やろうがい!◯◯◯◯
巨84
礼91
塙82
志87
富86
松80
上84
合計:594
最高点:91(礼二)
最低点:80(松本)
平均点:84.8
笑いが起きた箇所:21
起きた笑いの平均:2.4
拍手笑いの箇所:2
起きた拍手の平均:1.0
礼二「意外と期待してたんですけど、爆発せえへんかったなと。遊園地行くまでも大きい笑いが一個あれば楽にネタ入れたかもしれない。ちょっとうまく行かなかったのかなと」
志らく「出てきた感じと、見た目とか、声の雰囲気とか、ものすごい面白い感じがするんだけれども、それほどでもなかったのかなと。はらさんの方はほっといてもテレビで売れるんじゃないですか。その代わり絶対漫才は別れちゃだめですよ」
富澤「全然悪いネタじゃないんですけど、こう単発、単発になってしまったのかなという感じ。もうちょっと途中が欲しかったかな」
巨人「ツカミからあまりつかめていなかった。噛んだとこもあって、色々あったんですけれども、設定も無理だったかもわかりませんね。頭から申し訳ないけど僕らは反吐とか言われるとちょっと引いてしまうところがあるんですよ。川瀬くんの笑いのセンスめっちゃ買うてるんですけれども、ちょっと考えすぎかなと思います。途中からはらくんが普通のコントになって喋ってるところがありましたね。あっちの喋りの方がええんちゃうかと思い出しました。それで漫才やった方がええんちゃうかと」
松本「ここのコンビはツカミが大事だと思うんですけど、ツカミがうまくいかなかったので、いかにも6位って感じ。絵に描いたような6位」
スーパーマラドーナのサイコなネタがあったからなのかもわからないけれど、会場はやはり重いというか、「下世話なボケやキツめのワードがハマらない」、この雰囲気が非常に強くあった。劇場だったらバカウケだと思うのだが、ツカミから導入までがその時のお客さんの緊張感に全くそぐわないものだった。
川瀬さんが噛んだ噛んだと言われているが私はそこまで気にならなかったしそれだけが敗因ではない。「〜だからシミュレーションしとこうよ」で漫才コント直前にひと笑い取るところは、無駄をなくすためによく計算されていて、ゆにばーす名物っぽくて私は好きだ。
最初のツカミがうまくいかなかったのと川瀬さんのミスで、中盤以降はやっている本人たちがどんどんローテンションになっていくような、全くゾーンに入ってない感じがダダ漏れだった。前半で波に乗れていたら、「天才すぎるわ」のところだけでなく「激ヤバブスカップルではないんで!」「落ちる落ちる落ちる」「プロポーズしたんじゃないんで!」は絶対に拍手笑いが来ていたと思う。
そんな中でもはらさんの一人喋りは圧巻だったし関西弁のコテコテ漫才ちょっと見てみたくなってしまったなあ。
M-1後のGYAO反省会、ゆにばーすの二人がダントツで画面に映ってはいけない様子でしたので見ていて心苦しかったです。
頭のいい川瀬さんならば何をどうすればよかったのか、考えていらっしゃることでしょう…。普段からお二人の漫才を見ている人はゆにばーすがめちゃくちゃ面白いということを十分に知っていますから、どうか、どうか自ら命を絶たないでください。
最大限の拍手でお二人の労をねぎらいたいです。来年の今頃に、またパワーアップしたお二人の漫才をテレビで見られることを楽しみにしています。
7:ミキ「ジャニーズ」
(ツカミなし)
ああ!?○
お前(1回目)!!○○○・●
お前(2回目)!!◯
やってくれたなお前◯
そりゃ怒るぞ◯
だから何?だから何?◯
当たり前やん!◯◯◯
自殺行為やん(1回目)◯
こんな会話〜恥ずかしい!◯◯◯◯
俺がジャニーズ〜向いてへんとか◯◯
聞かんといて〜恥ずかしいから!やめて!◯
気持ちでは何ともならん!◯◯◯
ジャニーズって〜入られへんから◯◯
今年で32やで?◯◯◯・●
何やそのアンバランスな言葉◯◯
言うてること〜同じやで◯◯
って関係あるかい!◯◯◯
誰と誰と誰やねん◯◯
ブスやねん!◯◯◯
それブスに言うセリフやねん◯◯
やめろや!◯◯
そうです!!◯◯◯◯・●
この口論嫌や!◯
どっちが勝っても俺が損する◯
何で俺書類審査通ってんねん!◯◯◯・●
別人やないか!◯◯◯
東南アジア系のな!◯◯◯◯・●
変な言い方すんな◯◯◯
何が?〜やめてそれ!◯◯◯◯◯・●●●
めちゃめちゃ簡単なアハ体験◯◯◯◯・●●
国民にや!◯◯◯
それはちゃうやん!◯◯◯◯◯・●●●
巨90
礼93
塙90
志89
富90
松88
上98
合計:638
最高点:98(上沼)
最低点:88(松本)
平均点:91.1
笑いが起きた箇所:32
起きた笑いの平均:2.4
拍手笑いの箇所:8
起きた拍手の平均:1.6
上沼「ごめんなさい。贔屓してるわけじゃないんですよ。でもファンだな。ギャロップの自虐っていうのと違ってお兄ちゃんのは突き抜けてる。その力の差がある。私はファンだな、ミキの。林くんとは違うねん。林くんは暗いねん。(略)お兄ちゃんの自虐は突き抜けて芸になっている。人徳がある」
松本「今日の空気に合っている漫才だなあということですかね。しゃべくりがいいのかなあ」
富澤「そうですね、人間の面白さっていうのもあったし、頭からトップギアで駆け抜けた感じでよかったと思います」
志らく「おそらく今日やった漫才の中では一番素晴らしいし、今後30年40年漫才師として生きているのはおそらくこのお二人だろうと思います。ただもっとなんか、すごい新しいもの、どーんとこういう…ほしいですね。心が揺れるくらい、うわあすごいこの発想は、もう我々には到底及びもつかないというようなものすごい新しいものがあったら、10点くらい上乗せは」
塙「僕は、ほんと若いのにこれだけのテンポが出せるのがすごいと思います」
礼二「ここ数年見た中で一番今日の出来はよかったんじゃないかと思います。去年よりもよかった」
巨人「うまい。いつも劇場で聴いても上手いなと思って、こんなの僕らもできひんなと思うくらい上手いときがありますから、今日も抜群に上手かった。ただこのネタ話題だけでこれだけ喋れるって、やっぱり力なかったら無理ですよ。ここで、志らく師匠が仰ったようになんかものすごく面白いネタ、みんながびっくりするようなネタそういう話題を彼らにやらせたら、100近いかも。ただ2本目聴けたとして、やかましいと感じなかったらいいけどね」
ミキの漫才は、亜生さん1のボケに対して昴生さんが3〜4の言葉数でつっこむ。今回も昴生さんのツッコミ一言一言で、ある程度の笑いが回収できていたように思う。
自虐ネタは…という話があった後で、さらに芸能人の名前が出てきたりと俗っぽさにヒヤヒヤさせられたのだが、ツッコミの声量と勢いでカバーしてライトなものになっていたのではないか。昨年に比べるとダジャレや言い間違いなどのベタなボケを減らしている印象(昨年の反省を踏まえて彼らにしては少しシャープなネタにしようとしたのかも)だが、今回は動きが少なかったので、視覚的なメリハリは昨年の方があった気がする。
よくよく見ると、亜生さんのボケというかアシスト、これが完っ璧!声のトーン、表情、間の取り方、「これやばない?」の言い方動き方とかもすごくブラッシュアップされてるのが伝わってきた。さすが年間800回漫才の鬼兄弟。
最低点は松本さんの88点。ネットでは志らくさん上沼さんばかりが話題に上るが、実は松本さんの採点はけっこう辛いのだ。
しゃべくりがいいのかな?とのことだが確かにここまでの様子ではしゃべくりの方が出来が安定しており、漫才コント形式をとったコンビが、ネタやフレーズが重ため・キツめだったりしてハマっていなかった。
松本さんは恥ずかしがって、すぐ笑いを誘うコメントばかりするのだが、私はもう少し真面目な講評が聴きたいなあ。笑いは漫才師がこれでもかというほどとっているのだから、審査員が笑かす必要はないのではという気がする。まあネタ終わりの漫才師をいじってあげるところは、先輩としての優しさでもあるのかもしれないが。
そしてネットでみなさんが仰っていることについて私も少々。漫才の力で1位を決める大会で、漠然と「ファン」という言葉を持ち出すのは、やはりよろしくない。ネタの発想など、審査員の好みが点数に反映されること自体はあっていいと思うのだが、なぜその点数をつけたのかと聞かれた時に(特に極端に高い・低い点をつけたのなら尚更)ある程度理屈で説明ができないと文句が出るのも当然だろう。上沼さんは「贔屓してるわけじゃない」と言っているけれども、「ファンだ」という言葉で押し切ろうとするのは極めて非論理的。「突き抜けて芸になっている」という言葉も、皆を納得させるほど的を射た表現ではないような感じがした。
敗者復活戦での「一般投票」で、ラストイヤーのプラス・マイナスに勝ったこと。上岡龍太郎との関係。彼らは背負わされているものが大きすぎる。上沼さんのコメントに、亜生さんは複雑そうな顔をしていたなあ。
大事なのは、ミキの二人はただ全力で漫才をしただけであって、彼らに罪はないということ。責めるべきはミキでなく、ネタを見ないでミキに投票した女性ファンでもなく、上沼さんでもなく、大会を作っている運営なのではないかな、というのが私の素直な感想です。
8:トム・ブラウン「ナカジマックスをつくる」
ツカミ「キャー!」◯◯
ずっと何言ってんすかねー?◯◯
お前、中島の中に〜入ってるぞ!?◯
ダメーーー◯◯◯・●
ミスっちまったな◯
女性歌手ばっかり合体しちゃってるぞ◯
ダメーーー◯・●
ワンランク上だから〜のみになってるよ◯◯
ちょ〜待てよ〜→ダメーーー◯◯◯・●
ちょま〜てよ〜 〜合体!◯◯
ダメーーー◯◯◯・●
ほてじま拓哉!◯◯◯◯
ほてじま拓哉!◯◯◯
ダメーーー◯◯◯・●
平成ヒットソングメドレーじゃねーか!◯◯◯
誰ーーー!?◯◯◯
やったーー!◯◯・●
巨87
礼90
塙93
志97
富89
松91
上86
合計:633
最高点:97(志らく)
最低点:86(上沼)
平均点:90.4
笑いが起きた箇所:17※
起きた笑いの平均:2.2
拍手笑いの箇所:6
起きた拍手の平均:1.0
志らく「何なんですか、あなた達は。意味も全くわからないんだけども、衝撃を受けましたね。もしかしたら変な奴らが好きなのかもしれない。ものすごいがっくりしているのは、もうネタが聴けないということですよ」
塙「途中からツッコミの布川くんが、誰に対して「みなさん待ってますよ」とか、客席にいちいち同意求めてるのがおかしくなっちゃって。誰に対して説明してるのかなと」
礼二「これね、評価が途中で訳わからなくなってきて、ただずっとみちお君の顔を見たら普段怖いんやろうなっていう」
松本「僕は、めっちゃくちゃ面白かったですよ。でももう、今日でいいですわ。かまいたちとジャルジャルの間に(点数)入れてたんですが、もう一本見てみたかった」
上沼「大熱演。感動しました。ただちょっと、未来のお笑いっていう感じかな。私には、年だからついていけないや。ごめんなさいね。でも面白かった。どんどん上がっていったもん。やっぱり盛り上がるっていうのは力ですからね。すごいと思う。(略)でも私は今日でいいや」
富澤「そうですね、途中から聞くのやめたんですけど(笑)、今の2本目の情報聞いたらすごく見たいんですよ。」
巨人「これもね、何点つけようかなとものすごい悩んだんですよ。会場はうけてましたけどね、YouTubeで見たことがあるんだけれどもほんまに見たのは今日が初めてなんですが、合体して変身していくところ、あそこが面白いからもういっぺん見たいなと思うんですが、漫才としてはどうなのかなと思ってちょっと点数低めて、申し訳ないです。面白かったですけどね」
変化球的なネタで審査員の採点傾向はジャルジャルとよく似ている。しかし拍手笑いの大きさを見ても、爆発という点でジャルジャルには及ばなかった。
巨人さんは「漫才としてはどうなのか」と発言しているが、大爆発したジャルジャルについては「訳わからんけど面白かった」と言っていた。独創性の高い漫才は、「漫才としては云々」という意見さえ言わせないレベルまで、発想で審査員を唸らせなければ、最終決戦進出は難しいのか。
笑いが起きた箇所は17となっているのだが、やはりストーリー性のないネタの強みで、ずっとお客さんを笑いの波に乗せることができていたように思う。「◯」を表記していないセリフでも、絶えず◯1前後の笑いが起こっていた。ジャニーズの話題だった一つ前のミキと比較すると、会場は男性の笑い声が目立っていたのも印象的だ。
気になったのは、「ダメーーー」の時にツッコミ布川さんの右腕が口元を隠してしまっており、セリフがはっきりと届いていなかったのが残念だった点。そういった意味では予選の方が、漫才の出来もハネ具合も良かったような気がする。「ダメーーー」は、最初に衝撃を受けてからずっとお客さんが待ち望むワードなので、やはり必ず完璧にきめてほしい。
フリの部分でも笑いを冷ますことなく乗り切ることができた点と、「ダメーーー」がうまく届かなかった点を合算して、結果はホームランでもなく三振でもなくヒットに落ち着いたかなという感じ。
それにしても、地下芸人の希望となる素晴らしい活躍だった。2本目見たかった!とも言われていたし、間違いなく今後ネタ番組の出演や営業の仕事も増えるだろう。彼らの独創性を買ってくれる業界人(放送作家など)もきっと出てくると思う。来年は、彼らがお笑いで食えるようになりもう少し綺麗な衣装で漫才をしている姿を見たいものである。
9:霜降り明星「豪華客船」
(ツカミなし)
あとバイキングも豪華なんだよなあ◯
おいボラギノールのCMか!◯◯◯◯・●●●
なんでお前静止画ベースで喋ってんねん◯◯◯◯◯・●●●●
夜行バスのテンション!◯◯◯◯◯・●●●●
法事!◯◯◯◯◯・●●●
ありがとう、みそ汁大臣◯◯◯◯
ラジオネームか!◯◯◯◯
素晴らしい意見!◯◯◯◯
また別のクレーマーや◯◯◯
おんなじ意見やのに揉めとる◯◯◯◯
103地獄!◯◯◯◯◯・●●
縁起悪い!◯◯◯◯◯・●●
(せいやの動き)◯◯◯
リアス式海岸!◯◯◯◯◯・●●●●●
サボテン!◯◯◯◯◯・●●●
歯磨き粉の匂いする◯◯◯
オーロラツーステインクリア!◯◯◯◯◯・●●●●●
こぼれるこぼれる!◯◯◯◯
露骨な左利き◯◯◯◯・●●●
女の労力エグい◯◯◯◯◯・●●
表現力が劇団四季◯◯◯◯◯・●●●●
ダンス界のケンタウロス!◯◯◯◯
本命はパラパラ◯◯◯
キッズダンサーの笑顔!◯◯◯◯◯・●●●●
日付変更線で遊ぶな!◯◯◯◯◯・●●●●●
扇!◯◯◯・●
倍返しだ!◯◯◯◯・●●●●
巨93
礼96
塙98
志93
富91
松94
上97
合計:662
最高点:98(塙)
最低点:91(富澤)
平均点:94.5
笑いが起きた箇所:27
起きた笑いの平均:4.1
拍手笑いの箇所:16
起きた拍手の平均: 3.3
上沼「上手いなあ、上手い!びっくりした!やるねえ!」
富澤「映画を見ているかのように、全体を使って。これがまた、歳をとったら面白くなるんだろうな。(爆発が)きたかもしれないですね」
志らく「一番現代的で程がいい漫才なんですよね。だから会場もひっくり返ってウケてて。(略)お笑いに関係ないような、とんがった芸能人や文化人が彼らに食いつくかどうかっていう勝負でしょうね。大衆は、君たちをものすごく支持すると思います」
塙「同じ芸人として、面白い面白くないじゃなくて、強弱で言えば強いんで、二人とも。これはもう圧倒的に強い人間がやってるなというか。吉本の宝。漫才協会に絶対入ってもらいたい」
礼二「せいやのボケまっしぐらと、粗品のツッコミが全部ハマった感じですね」
巨人「最近の漫才、近代漫才というか。ツッコミの言葉の多さ、ボキャブラリー、それを粗品くんが完全にやっている。せいやがボケて、粗品がつっこむ時に待ってるもん、次何言うんかなって。みんなが思ってることよりちょっと上のことを言うてるからどんどんハマっていって、最初から最後までずっと爆笑でしたね。よかったと思います。」
松本「これはもしかしたら、優勝する可能性は…。トロフィーのシルエットが二人のまんま」
とにかく粗品さんの鋭いツッコミがハマりにハマった。最初のツッコミ「ボラギノールのCMか」がキマって大きい拍手笑いが来てからというもの、怒涛の勢い、息もつかせぬ爆笑のオンパレードであった。「静止画ベース」「リアス式海岸」「日付変更線」など、すこし小難しいワードがとりわけお客さんのツボを突いていた印象。
よく聞いてみると、実は「あとバイキングも…」「(せいやの動き)」「歯磨き粉の匂いする」 といったせいやさんのボケの時点ですでに笑いがきている。聴き手は、何かがおかしいことはわかるのだが、ここにどういうツッコミが来るのか?とワクワクしている状態で、ツッコミの前の時点でもうある程度の笑いが起こるのである。
これがいい助走となっていて、その直後、粗品さんの痒い所に手が届くツッコミ兼説明(言うなれば「正解発表」の瞬間)で一気に最高地点まで引き上げられる。どういうツッコミが来るのか?とお客さんが考えて始めてからツッコミが来るまでの速さも絶妙で、しかも想像の斜め上を行くワードセンス。これには痛快という言葉がピッタリだ。この気持ちの良さに、聴くものは皆打ちのめされてしまう…。
ステージを縦横無尽に動き回るせいやさんの堂々たるボケで視覚的に楽しめることは言うまでもないし、今回はお客さんがツッコミの理解が遅れて笑いそびれるというようなことがなく、ほぼ全ての「ボケ→ツッコミ(説明)」において◯4以上の笑いを回収できていた。
ボケ数、拍手笑いの量、トータルで見ても大爆発が起きていて非の打ち所がない作品に思えた。が、審査員7人のうち4人は90点台前半をつけている。90後半に及ばなかった理由は何なのだろうか?私が思うに、志らくさんはおそらく発想・設定の独創性だろう。ジャルジャルとトム・ブラウンを高く評価していた志らくさんはテクニックや会場のウケよりも発想の前衛性、「まったく見たことがないものへの驚き」に重きをおいて採点している。(技術とウケを一切考慮していないという訳ではないと思う、あくまでどこに重点を置くかの話)
冨澤さんは、ここまでの採点をみると点数に幅がないため、元から90点台後半をつける気はないと言われてしまったらそれまでなのだが…。
巨人さんと松本さん、特に松本さんは採点基準をあまり明確にしないのでよくわからないが、私なりに空っぽの頭を働かせて考えつく理由といえば、「良くも悪くもシンプルな全体の構成」…???
この漫才は「こんな豪華客船は嫌だ、どんなの?」という大喜利の答えを箇条書きにしたものを然るべき順に並べたような構成になっている。ネタのメモ書きでは一行あけている箇所もあるが、「ボケ→ツッコミ(説明)」と「ボケ→ツッコミ(説明)」の間をつなぐふたりのやりとりがほとんど存在しないのだ。
(ファイナリストで言えば見取り図、ギャロップのような、ボケでパス、ツッコミでシュート、というスタイルの漫才が多いが、)粗品さんのツッコミの前に笑いが起きているところを見ると、せいやさん、粗品さんともに笑いを発信している点ではかまいたちと共通する部分があるかもしれない。
先ほど、かまいたちの漫才は笑いが双方向、と表現した。二人の人間同士のぶつかり合いを大事にするかまいたちの漫才は互いの言葉を受け止めてラリーを続けているのに対し、霜降り明星はせいやさんのボケを踏まえて粗品さんが突っ込んだあと、その言葉をせいやさんは受け止めることなく、間髪入れず次のボケを発動させている。
掛け合い重視のかまいたち、物語としての構成の美しさがある和牛などと比較した時に、このようなポイントが気になるって人、いるのかなあ。
あれだけの爆裂パンチを食らった状態でそんなことにまで考えを及ばす余裕は、私にはないですけどね。舌を巻きました。
10:和牛「ゾンビ」
(ツカミなし)
ほんまに考えんでええよそんなこと◯
殺す殺す殺す殺す◯
殺す◯
それじゃ遅くない?◯
なんでそんなん言われなあかんねん◯◯◯
ウォーーて言い出したら殺してくれたら◯◯◯
あれのこと声変わりって言うなよ◯◯◯◯
おれへんやんそんな奴!◯◯
なんか色だけ変わったぁ◯◯◯◯
今日の晩ごはんやけど〜殺す殺す殺す!◯◯◯
まだまだ水田やん◯
そこそこゾンビよ?◯◯◯
ギリギリまだまだ水田やん◯
ホーーーて言ってたら殺してくれていい◯
これは殺されへんやん!◯◯◯
ホーーーて言ってる水田やん◯◯◯
だから俺この話したくなかったんよ!◯◯◯
いっちょもって…◯
殺せるんや◯◯◯◯・●
水田、今日の〜殺してくれてええよもう!◯◯
賢志郎ここ腐ってた日ある?◯◯
水田ぁ…殺してくれぇ…◯【←ここから後半】
これはもうゾンビやわ◯◯◯
ロープロープ…◯◯
はいもうこれで〜何これ?◯◯◯◯◯・●●●●●
うん◯◯◯
結び目どこ?◯◯◯
オーーー…◯◯◯◯・●●●●●
噛まれてたんお前も!◯◯◯◯・●●●
グワア(水田ゾンビになる)◯◯◯
ここまでなってて抜かされることあんの!?◯◯◯◯◯・●●●●●
どこ行くの!?◯◯◯◯◯・●●
お前ゾンビと合流するんか!?◯◯◯◯◯
俺まだなってないねん!!◯◯◯◯◯・●●●
巨92
礼94
塙94
志93
富92
松93
上98
合計:656
最高点:98(上沼)
最低点:92(巨人、冨澤)
平均点:93.7
笑いが起きた箇所:34
起きた笑いの平均:2.7
拍手笑いの箇所:7
起きた拍手の平均:3.4
起きた笑いの平均(後半):3.6
起きた拍手の平均(後半):3.8
上沼「もう完璧でしょ。ゾンビになるかならへんかだけでよくあんなにつっぱってね。発想の天才的なネタ。あと落ち着いたベテランの域のしゃべくり。2作目聴きたいと絶対思いました。」
松本「まあやっぱり安定感というか、最後(期待を)裏切らないねえ。ただ和牛としては本当は1位で行く余裕というか自信があったんでしょうね。だから2位か、と。ちょっとそれはびっくりしましたね。」
富澤「悔しかったですね。和牛が思っているように見てしまいました。やられました。」
志らく「ゾンビ、それから殺すというワードが出てきて、非常に最初は嫌な感じがしたんだけれども全体でものすごく品があるんですよね。品があるからゾンビと言おうが殺すと言おうがどんなことをしても楽しく聴けるという…それはやっぱりお二方の持っている才能でしょうね。」
塙「毎年優勝候補と言われている中で、まあこれだけのネタを作ってきて、やっぱりやる話術がすごいなと。」
礼二「毎年作品を見せていただいてるような感じで、ただ本当に前半もうちょっと大きい笑い一個ないと見てるこっちがドキドキしますよね。まあ最後あれだけウケるんで、さすが和牛だなと」
巨人「前半ちょっと心配でした。まあ毎回なんですけどね、大丈夫かなと思って、最後に大きい笑いがなかったら僕90点もついてないんと違うかな。どーんときましたからね。やっぱりその、力なんでしょうね。非常に喋りも軽快で、聴きやすいし、やっぱりうまい。力がある。ここまでよく本当にきたなと思います」
和牛の持ち味である水田さんの屁理屈・神経質キャラとストーリー性、そして昨年からの「後半での伏線回収」に加え、今年はここにさらなる新たな要素を乗せてきた。それが「展開の裏切り」だ。まさに「第4形態」と言える、和牛の1年間の集大成を我々は目の当たりにした。
昨年とろサーモンの感情に訴えかける漫才に「インパクト」で敗れた反省を踏まえてか、物語が予想だにしない展開へ向かうことで後半に圧倒的な大きさの笑いと、拍手と、驚きを湧き起こす作品になっていた。
前年までの反省点をほぼ完璧に改善している点、決勝大会のルールの隙をついてちゃっかりネタを5分尺で仕上げている点(←これはネットで話題になっていて知りました)、あらゆる点において水田さんの策士ぶりが炸裂しているなという印象。和牛のお二人は、劇場で漫才が終わって袖にはけた後にすぐセリフの修正や間の調整をしていらっしゃるとのことだ。ネタを見ても、セリフの一言一言、表情、全てにおいてものすごく洗練されているのがよくわかる。「ホーーー」のところなんかも、二人が研究を重ねて一番面白く聞こえる音があれだったのだろう。こうしたミリ(?)単位の調整は、まさしく職人技…。途中、水田さんが「だから俺この話したくなかったんよ!」と声を荒らげて動く場面では、お客さんの視線を動かしてメリハリを持たせているのも考えられているなあと思う。
川西さんがゾンビになって「水田ぁ…殺してくれぇ…」と言うところで折り返し、後半は漫才コントで一気に巻き返しが始まるのだが、川西さんのゾンビ役がこれまた完璧すぎる。豊かな表情と動きで笑いを誘うのは勿論、グロテスクなゾンビをやっているはずなのに振る舞いの一つ一つに愛らしさと親しみやすさがあって、お客さんを引かせることなく漫才コントの世界にグッと連れこむのだ。
ネタ披露後には「見てもらいたいように見てもらえた」と水田さんは言っており、前半は重いくらいでいいというのがお二人のプランだったようだが、テレビの前の私は気が気ではなかった。
漫才が始まってすぐ、殺すという言葉が出てきてやや不穏な空気が漂い、私はずっとドキドキしていた。当日の雰囲気はここまで下世話・過激な言葉がウケにくい様子だったので、いくら和牛とはいえこの重たい空気から爆笑に持っていくのはかなり難しいのではないか…?と。前半の掛け合いが丁寧だからなおさら心配なのだ。しかし、お二人の持つポップで上品な雰囲気と、コミカルでありながらどこか現実味を帯びた漫才コントでの役柄が”フュージョン”した瞬間、天地に轟く凄まじい拍手笑いの連続。この後半での怒濤の追い上げは、全盛期の北島康介を彷彿とさせた。
点数は656点と霜降り明星には6点及ばず、2位での最終決戦進出となった。(順位が発表された時の和牛の二人は、ホッとしてはいるものの1位ではなかったためどこか浮かない表情に見えるのは気のせいか。)
和牛のネタは、前半がフリとはいえ要所要所で笑いをしっかりとっている。その証拠に、起きた笑いの数は34と、霜降り明星の27を上回っている。なのになぜ霜降り明星に及ばなかったか?決め手となったのはやはり拍手笑いの数だろう。
序盤から沢山の大拍手笑いを掻っ攫い、最後まで全速力で駆け抜けた霜降り明星の拍手笑いの数16は、和牛の7の倍以上。和牛の後半での拍手笑いは時間がとても長かったし、その大きさはカンストしていたと言えるのだが、どうしてもスロースタートな構成のために遅れを取ってしまったのが原因か。
1本目の審査の結果を表にまとめたのがこちら。合計点の順に左から並んでおり、コンビ名の横に書いてある数字がネタ順である。審査員ごと(行)には点数が高い順に、点数の左に⑴〜⑽と表記している。コンビごとに最高点は赤、最低点は青でセルを塗りつぶした。
ネタの前後半で笑いの取り方が異なる和牛のみ「笑いの平均(後半)」「拍手の平均(後半)」を算出した。

この表からわかること、考えられること
・礼二、塙、松本は点数の⑴〜⑶が合計点の順位と一致している。
・7位以降は全て礼二が最高点、松本が最低点をつけている。
・拍手笑いの箇所は、基本的には順位が高いほど値が大きい。これを見ると見取り図は7ならもう少し順位が高くてもよかった気がするが、9位に落ち着いたのはやはりトップバッターだったためか。
・志らくと上沼の審査が注目を集めているのは、評価が分かれる独創的なネタのジャルジャル、トム・ブラウンにそれぞれ最高点、最低点をつけていることが理由だといえる。(その点数に対してのコメントは勿論である)
・ツカミの有無はあんまり関係なさそう?
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